SCAP(Security Content Automation Protocol)とは?その仕組みと活用方法をCISSPが解説

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筆者名:城咲子(じょう せきこ)

情報システム部でセキュリティを担当している城咲子です。セキュリティに関する情報や日常の出来事(グチやボヤキ笑)などを発信していきます。(情報処理安全確保支援士/登録セキスペ/CISSP)

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こんにちは、情報システムセキュリティ担当の城咲子です。

サイバーセキュリティの世界では、日々新しい脅威が生まれています。それに伴い、システムの脆弱性管理や設定の自動化は、効率的かつ正確に行う必要があります。今回は、その中心的な役割を果たすSCAP(Security Content Automation Protocol)について、私の専門知識を交えながら分かりやすく解説します。

SCAPとは何か?

SCAP(Security Content Automation Protocol)は、アメリカ国立標準技術研究所(NIST)によって策定された、セキュリティ設定の自動化と標準化のためのプロトコル群です。これを利用することで、脆弱性情報の共有やセキュリティ設定の評価を、自動的かつ統一的な方法で実施できます。

SCAPの主な目的は以下の通りです。

  • 脆弱性管理の自動化: システムの脆弱性スキャンや管理プロセスを自動化します。
  • 設定評価の標準化: OSやアプリケーションの設定が、セキュリティ基準を満たしているかを自動で評価します。
  • 情報共有の効率化: セキュリティ情報を機械可読な形式で共有することで、組織間の連携をスムーズにします。

SCAPを構成する主要なコンポーネント

SCAPは単一のプロトコルではなく、複数のプロトコルやデータ形式の集合体です。主な構成要素は以下の通りです。

  1. CVE(Common Vulnerabilities and Exposures): 公に知られているソフトウェアの脆弱性にユニークなIDを付与するリストです。これにより、世界中の脆弱性情報を一意に識別し、共有することができます。
  2. CVSS(Common Vulnerability Scoring System): 脆弱性の深刻度を数値化して評価するためのオープンなフレームワークです。これにより、どの脆弱性から優先的に対応すべきかを判断できます。
  3. CPE(Common Platform Enumeration): ハードウェア、OS、アプリケーションなどを一意に識別するための命名規則です。これにより、脆弱性の影響範囲を正確に特定できます。
  4. CCE(Common Configuration Enumeration): システムの設定項目を識別するための命名規則です。セキュリティ設定のベストプラクティスを標準化するのに役立ちます。
  5. OVAL(Open Vulnerability and Assessment Language): システムの脆弱性や設定情報を記述するための言語です。これにより、セキュリティツールの間で評価定義を共有できます。
  6. XCCDF(Extensible Configuration Checklist Description Format): セキュリティチェックリストを記述するための言語です。ポリシーや評価結果をXML形式で表現します。

これらのコンポーネントは相互に連携し、システム全体のセキュリティ評価を自動化・標準化します。

SCAPの利用シーン

SCAPは、政府機関や大企業だけでなく、あらゆる組織で活用されています。具体的な利用シーンとしては以下のようなものがあります。

  • コンプライアンス監査: PCI DSSやFISMAなどのセキュリティ基準への準拠状況を自動でチェックします。
  • 脆弱性診断: 新しいソフトウェアを導入する際に、既知の脆弱性が存在しないかを確認します。
  • 設定評価: サーバーやネットワーク機器が、組織のセキュリティポリシーに沿って正しく設定されているかを継続的に監視します。

これらの自動化により、セキュリティ担当者の負担を大幅に軽減し、より高度なセキュリティ対策に注力することができます。

まとめ

SCAPは、セキュリティ管理を自動化し、組織のセキュリティレベルを維持・向上させるための強力なツールです。複雑なセキュリティ設定や脆弱性管理を効率化し、統一的な基準で評価できることは、現代のサイバーセキュリティにおいて不可欠な要素と言えるでしょう。

私自身も、日々の業務でこれらの標準を参考にしながら、システムの堅牢性確保に努めています。この記事が、皆さんの情報セキュリティに関する知識の一助となれば幸いです。