サプライチェーン攻撃とは?中小企業が「踏み台」にならないための実践的対策

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筆者名:城咲子(じょう せきこ)

情報システム部でセキュリティを担当している城咲子です。セキュリティに関する情報や日常の出来事(グチやボヤキ笑)などを発信していきます。(情報処理安全確保支援士/登録セキスペ/CISSP)

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  • 最小権限の原則
  • 測定できなければ管理できない!
  • 失敗する可能性のあるものは、いずれ失敗する。

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私は、セキュリティの専門家として、サプライチェーン攻撃が日本の企業にとって深刻な脅威になっていることを強く認識しています。特に、大手企業の取引先である中小企業が「踏み台」として狙われるケースが急増しており、他人事ではありません。

この記事では、サプライチェーン攻撃の脅威、そして自社が加害者にも被害者にもならないための具体的な対策について解説します。


1. サプライチェーン攻撃の仕組みと脅威

サプライチェーン攻撃とは、セキュリティ対策が比較的弱い関連企業や委託先を攻撃し、そこを経由して目的の企業(ターゲット)に侵入する攻撃手法です。

【具体的な攻撃事例】

  • ソフトウェアのアップデート経路の悪用: 正規のソフトウェアにマルウェアを混入させ、ソフトウェアを利用している多くの企業に感染を広げます。
  • 委託先のシステム悪用: サーバー管理やシステム開発を委託している企業が攻撃され、機密情報が窃取されます。

2. サプライチェーン攻撃を防ぐための対策

サプライチェーン攻撃は、自社だけでは防ぎきれません。取引先を含めたエコシステム全体での対策が不可欠です。

  • 取引先へのセキュリティ要件の明示: 契約時に「ISO/IEC 27001」「SECURITY ACTION」の取得など、具体的なセキュリティ要件を明記しましょう。
  • 定期的なセキュリティ監査: 取引先や委託先のセキュリティ対策状況を定期的に確認します。監査項目に「脆弱性診断の実施有無」「インシデント発生時の報告義務」などを加えることが重要です。
  • 社内規定の強化: 業務委託先を選定する際のセキュリティ評価基準を明確にし、社内規定に盛り込みます。
  • 中小企業向けガイドラインの活用: IPAが提供する「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」を参考に、自社のセキュリティレベルを底上げしましょう。
  • ITシステムの見える化: 自社のIT資産(PC、サーバー、クラウドサービスなど)を正確に把握し、脆弱な部分がないか常に確認します。

3. まとめと行動への呼びかけ

サプライチェーン攻撃は、もはや「他人事」ではありません。貴社の事業を守るためには、自社の対策を徹底するだけでなく、取引先との連携を強化し、サプライチェーン全体でリスクを低減する取り組みが必要です。

この機会に、貴社の取引先管理規定を見直し、セキュリティ要件を明確にすることから始めてみてはいかがでしょうか?